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沖縄島恩納村沖 (2023)

沖縄島恩納村沖

図1A: 恩納村海岸の航空写真。岸からしばらく“イノウ”(サンゴ礁に囲まれた浅瀬)が続き、薄茶色で示される岩礁域を経て徐々に深くなり、水深約200mまでの海域(濃紺)となる。さらにその外側では急激に深くなり、深海域(薄青)へと続いていく。

恩納村沿岸を航空写真で見ると(図1A)、残波岬の北東部からブセナ海中公園までのおおよそ32kmに渡り、沖縄の言葉でいう“イノウ”(礁地:サンゴ礁に囲まれた浅瀬)が続いています(薄青の領域)。前兼久付近のイノウの中央部はほぼ砂地で、ここでモズクの養殖などが行われています(イノウがもたらす恵みの一例です)。場所によって景観は異なりますが、イノウの先端に岩礁部があり(薄い茶色で見えている)、サンゴ礁がここから始まっているケースが多いです。そしてそこから徐々に水深が増していき濃紺の部分は水深10-200mほどです。そしてさらにその外側で急に海は深くなり薄い青色の深海へと繋がっていきます。岩場の礁池では大きく育ったミドリイシやコモンサンゴをはじめとした枝状サンゴ、テーブル状サンゴなどのサンゴを見ることができます。さらには真栄田岬にある“青の洞窟”や万座毛下のサンゴ礁は、沖縄を代表するダイビングスポットの一つとなっています。

恩納村沿岸浅瀬のサンゴ礁はどのくらいの深さまで続いているのでしょうか。我々は2022年の秋に残波岬下から恩納村前兼久前まで、また2023年春に前兼久前から万座毛付近、さらに2023年秋には瀬良垣付近から部瀬名まで、数回にわたり準深海サンゴ環境DNA調査を行いました。


図1B: 恩納村沿岸中央部での準深海サンゴ環境DNA調査ポイント。ここで紹介するのは、231016-1として示した万座毛北西です。

全体的に環境DNA解析は現在も進行中ですが、万座毛北西での結果を水中ドローンの映像を使って簡単に説明します。

図2A.

万座毛北西水深2.6 m。浅瀬のサンゴ礁にミドリイシやハマサンゴなど多くのサンゴが群生している。

図2B.

万座毛北西水深8.8 m。浅瀬が岩場に変わり、ここでもミドリイシをはじめとした多くのサンゴが群生している。

図2C.

万座毛北西水深21.8 m。なだらかなサンゴ礁斜面。サンゴの群生が続く。

図2D

万座毛北西水深30.8 m。サンゴ群集は減少し、ガレ場へと変わっていく。

図2E

万座毛北西水深50.6 m。砂地の準深海。サンゴの姿はない。

すべてのビデオ画像の著作権は、撮影者に帰属します。使用の際にはOISTとNTTdocomoの両方のクレジットをお願いします。

地点番号 地点名 緯度経度 採水深度 優占属 優占度
1-2m 残波岬北東_2m 26.44036101, 127.719075 2 m Acropora (ミドリイシ属) 31.36 %
1-65m 残波岬北東_65m 26.44443302, 127.720532 65 m Acropora (ミドリイシ属) 39.91 %
1-43m 残波岬北東_43m 26.44353901, 127.719889 43 m Acropora (ミドリイシ属) 59.02 %
2-33m 長浜北_33m 26.43954, 127.738811 33 m Acropora (ミドリイシ属) 56.27 %
3-33m 真栄田岬西_33m 26.44307298, 127.753021 23 m Acropora (ミドリイシ属) 64.42 %
4-32m 恩納村赤崎西礁斜面_32m 動画 26.489883, 127.827583 32 m Acropora (ミドリイシ属) 64.57 %
4-S 恩納村赤崎西礁斜面_S 26.489883, 127.827583 0 m Acropora (ミドリイシ属) 51.22 %
4-47m 恩納村赤崎西礁斜面_47m 動画 26.489883, 127.827583 47 m Acropora (ミドリイシ属) 54.05 %
5-S 万座毛北西海岸_S 26.512, 127.8542 0 m Acropora (ミドリイシ属) 52.56 %
6-S1 ダイヤモンド北_S1 26.5099, 127.880983 0 m Acropora (ミドリイシ属) 60.97 %
6-21.7m ダイヤモンド北_21.7m 動画 26.5099, 127.880983 21.7 m Goniopora (ハナガササンゴ属) 46.14 %
6-S2 ダイヤモンド北_S2 26.509783, 127.880983 0 m Acropora (ミドリイシ属) 53.51 %
6-32.4m ダイヤモンド北_32.4m 動画 26.509783, 127.880983 32.4 m Acropora (ミドリイシ属) 38.18 %
6-35m ダイヤモンド北_35m 動画 26.509783, 127.880983 35 m Acropora (ミドリイシ属) 65.57 %
6-39m ダイヤモンド北_39m 動画 26.509783, 127.880983 39 m Acropora (ミドリイシ属) 74.56 %
7-21m 部瀬名西_21m 動画 26.527883, 127.917433 21 m Acropora (ミドリイシ属) 64.57 %
7-24.4m 部瀬名西_24.4m 動画 26.527883, 127.917433 24.4 m Acropora (ミドリイシ属) 58.29 %

eDNA解析に基く優占属トップ10

eDNA解析に基く優占属トップ10

ノート

万座毛北西の海域は、沖縄島西海岸を代表するサンゴ礁地形の一つです。岸近くにはサンゴ礁に囲まれた浅瀬(イノウ)が広がり、その外側では岩礁帯から礁斜面へと続きながら徐々に水深を増していきます。透明度の高い海にはミドリイシ属やハマサンゴ属、キクメイシ属など多様なサンゴが生育しており、ダイビングやシュノーケリングでも人気の高い海域です。本調査では、この万座毛北西沖において、水深約2.6 mから50.6 mまで連続的に観察を行い、サンゴ群集が深度とともにどのように変化するのかを調べました。

水深2.6mの浅瀬では、ミドリイシやハマサンゴ、キクメイシ類をはじめとする様々なサンゴが健全に生育している様子が確認できます(図2A)。この状況は、浅瀬の比較的なだらかな海底が岩礁へと変化する水深8.8mでもほぼ変わりません(図2B)。ここではサンゴ被度が80%を超えているようにも見受けられます。このサンゴに覆われた岩礁地帯は水深20mを超えても続きます(図2C)。しかし、水深がさらに増すにつれてサンゴの数は減少し、水深30m付近では砂地を伴うガレ場の様相を示すようになります(図2D)。さらに40m、50mと深くなるにつれてサンゴは姿を消し、海底はガレ場から砂地へと変化していきます(図2E:水深50.6m)。その後も水深約90mまで追跡しましたが、砂地が続いていました(図1Aの濃紺部分)。おそらく、その先で深海へ落ち込む地点まで同様の環境が続くものと考えられます。なお、ポイント231016-4では水深40m付近からガレ場が始まります。




Acropora ミドリイシ属 ( Acropora ) Goniopora ハナガササンゴ属 ( Goniopora )