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慶良間諸島は沖縄本島の西方、那覇空港からおよそ30 kmの海上に位置しています。渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島などの比較的大きな島々に加え、多数の小さな無人島が点在し、複雑な地形を形成しています。慶良間諸島のサンゴ礁は、1998年の大規模な白化現象や2000年頃のオニヒトデの大発生により大きなダメージを受けました。しかし、その後サンゴ礁は徐々に回復しました。また、2014年には慶良間諸島が国立公園に指定されました。
私たちは、沖縄島と慶良間諸島を比較することで、それぞれのサンゴ礁の特徴をより明確にできるのではないかと考え、2023年に環境DNA法によるサンゴ礁調査を行いました。調査地点の中では、安護の浦が最も内湾的な地形を示しています。一方、渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島に囲まれた海域は、潮通しが良く典型的な内湾とは異なるものの、直接外洋にさらされず、水深もそれほど深くないという特徴があります。さらに、座間味島および阿嘉島の北西側に位置する調査地点は、外洋の影響を強く受けています。
| 地点番号 | 地点名 | 緯度経度 | 優占属 | 優占度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 前の浜 | 26.18639, 127.28124 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 56.15 % |
| 2 | アグ1 | 26.19422, 127.27212 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 42.76 % |
| 3 | アグ2 | 26.19489, 127.2741 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 68.13 % |
| 4 | ヒズシ | 26.18815, 127.27184 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 54.97 % |
| 5 |
久場北西
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26.17759, 127.23341 | Acropora (ミドリイシ属) | 25.25 % |
| 6 | 屋嘉比東 | 26.21105, 127.25092 | Acropora (ミドリイシ属) | 35.16 % |
| 7 |
後原
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26.20346, 127.26637 | Acropora (ミドリイシ属) | 63.22 % |
| 8 |
ニタ
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26.23769, 127.29158 | Acropora (ミドリイシ属) | 79.22 % |
| 9 | ユヒナ | 26.2415, 127.29954 | Acropora (ミドリイシ属) | 59.15 % |
| 10 |
阿護の浦
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26.23748, 127.3201 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 34.02 % |
| 11 | アリガー | 26.20633, 127.34832 | Acropora (ミドリイシ属) | 73.41 % |
| 12 | 阿波連 | 26.17284, 127.34032 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 53.59 % |
| 13 |
マジャノ浜
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26.19243, 127.28824 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 80.5 % |
| 14 | 北浜 | 26.20177, 127.28963 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 38.29 % |
| 15 | ガヒ南 | 26.21522, 127.2871 | Acropora (ミドリイシ属) | 57.46 % |
| 16 |
ガヒ前-浅
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26.21974, 127.2885 | Acropora (ミドリイシ属) | 59.25 % |
| 17 | ガヒ前-深 | 26.21975, 127.28939 | Acropora (ミドリイシ属) | 40.81 % |
| 18 | 安室西浅瀬 | 26.21101, 127.30686 | Pavona (シコロサンゴ属) | 35.22 % |
| 19 |
安室南
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26.20163, 127.31732 | Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) | 33.41 % |
環境DNA調査の結果、慶良間諸島のサンゴ礁には沖縄島のサンゴ礁とは異なる特徴があることがわかりました。沖縄島のサンゴ礁ではミドリイシ属(Acropora)が優占する場所が多く、そのことは2021~2022年に実施した環境DNA調査および同時に行われたダイバーによる目視調査によって確認されています。一方、慶良間諸島では、ミドリイシ属のDNAが多く検出されたのは渡嘉敷島北西部(アリガー)および阿嘉島・座間味島北西部の調査地点に限られ、それ以外の多くの地点ではコモンサンゴ属(Montipora)が優占していました。
このようなサンゴ分布の違いが生じる原因は現時点では明らかではありませんが、慶良間諸島特有の地形や海洋環境が関係している可能性があります。また、1地点当たりに検出されたサンゴ属数は沖縄島よりも慶良間諸島の方が多く、慶良間諸島のサンゴ礁は沖縄島のサンゴ礁に比べて、より多様性に富んだサンゴ礁であることも示されました。
慶良間諸島の地理的特徴として、沖縄本島周辺に比べて夏季の海水温が上昇しにくいことが知られています。2023年に実施した環境DNA調査では、高水温ストレスに弱いことで知られるトゲサンゴ属(Seriatopora)が沖縄本島周辺よりも多く検出されました。