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慶良間諸島 (2021)

慶良間諸島

図1. (a)最初に使用したFIFISH V6Plusと採水機。採水機はドローンの上部に取りつけ、約0.5 Lの海水を採水できます。(b, c) 流れの速い準深海で水中ドローンを制御できるかどうか、船上のモニター画面を見ながら検討している様子。両者は150mのケーブルで繋がっています。(d)採水は注射器の用量で行います。採水機の中にもともと貯まっていた空気が泡になって出てくることで、希望する準深海サンゴ礁の約1m上の海水を採水できることがわかりました。(e) 船上で、採水機からプラスチック容器へ採水した海水を移し替えているところ。

慶良間諸島の海は“ケラマ・ブルー”と呼ばれる高い透明度を誇ります。諸島間の海流は地域により異なりますが、それなりの速さがあります。こうした環境は採水機を搭載した水中ドローンを船上で制御して準深海のサンゴ礁から海水を採水できるかどうかを試す機会を与えてくれます。そこでまずFIFISH V6Plusというミニ水中ロボット2台(1台は採水機を搭載して採水、もう一台はその採水機の動きを観察)を使ってその可能性を確かめました(図1)。採水機は注射器の原理を利用しており、採水が行われると、採水機中の空気が泡となって排出されます(KE-Video1−4)。その結果、この装置が準深海のサンゴ礁の海水を採水できることが分かりました。現在の機種は、さらに機能が一段アップしたFIFISH W6Plusにかえ、採水機の改良やバッテリーの改良を加えた方法を利用しています。これらの研究技術の改良・開発については下にあります関係論文の岡田ら(2024)を参考にしてください。

そこで、慶良間諸島の6地域24地点(水深0〜80 m)において採水を行い、サンゴ環境DNAが検出可能かどうか、また水深によって出現するサンゴ属に違いがみられるかどうかを調査しました。



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関連論文

地点番号 地点名 緯度経度 採水深度 優占属 優占度
A0 クバ西表面海水 26.17423, 127.22865 0 m Acropora (ミドリイシ属) 69.69 %
A40 クバ西 40m 動画 26.17423, 127.22865 40 m Acropora (ミドリイシ属) 54.23 %
A50 クバ西 50m 動画 26.17423, 127.22865 50 m not examined
B0 クバ北西表面海水 26.18219, 127.233 0 m Acropora (ミドリイシ属) 85.34 %
B9 クバ北西 9m 動画 26.18219, 127.233 9 m Acropora (ミドリイシ属) 46.16 %
B20 クバ北西 20m 動画 26.18219, 127.233 20 m Hydnophora (イボサンゴ属) 25.26 %
B28 クバ北西 28m 動画 26.18219, 127.233 28 m Fungia (シタザラクサビライシ属) 52.09 %
B40 クバ北西 40m 動画 26.18219, 127.233 40 m Dipsastraea (キクメイシ属) 71.09 %
B50 クバ北西 50m 動画 26.18219, 127.233 50 m Anacropora (トゲミドリイシ属) / Montipora (コモンサンゴ属) 99.89 %
C0 北浜表面海水 26.20615, 127.28625 0 m Acropora (ミドリイシ属) 89.58 %
C15 北浜 15m 26.20615, 127.28625 15 m Acropora (ミドリイシ属) 52.68 %
C28 北浜 28m 動画 26.20838, 127.28927 28 m Leptoria (ナガレサンゴ属) / Platygyra (ノウサンゴ属) 50.07 %
C42 北浜 42m 動画 26.20804, 127.29432 42 m Acropora (ミドリイシ属) 74.23 %
D0 慶良間西表面海水 26.23519, 127.33255 0 m Acropora (ミドリイシ属) 82.36 %
D20 慶良間西 20m 動画 26.23537, 127.33365 20 m Acropora (ミドリイシ属) 53.27 %
D40 慶良間西 40m 動画 26.2355, 127.34677 40 m not examined
E0 シル東表面海水 26.21689, 127.31063 0 m Acropora (ミドリイシ属) 72.51 %
E20 シル東 20m 動画 26.21694, 127.31143 20 m Porites (ハマサンゴ属) 78.61 %
E41 シル東 41m 動画 26.21708, 127.31375 41 m Pachyseris (リュウモンサンゴ属) 67.18 %
E50 シル東 50m 動画 26.21113, 127.32035 50 m Porites (ハマサンゴ属) 44.32 %
F0 ジジガタマ表面海水 26.2231, 127.25013 0 m Acropora (ミドリイシ属) 37.92 %
F20 ジジガタマ 20m 動画 26.2231, 127.25013 20 m Porites (ハマサンゴ属) 58.66 %
F41 ジジガタマ 41m 動画 26.22145, 127.25472 41 m Acropora (ミドリイシ属) 76.61 %
F80 ジジガタマ 80m 動画 26.23482, 127.24683 80 m Porites (ハマサンゴ属) 100 %

eDNA解析に基く優占属トップ10

eDNA解析に基く優占属トップ10

ノート

初めに述べたように、採水機を搭載した水中ドローンと環境DNA法を組み合わせて 準深海のサンゴ礁を探る手がかりが得られましたので、慶良間諸島の6地域、24地点(表面から水深80m)から採水を行いサンゴ環境DNAが検出できるかどうか、深さによってサンゴの種類に変化があるがどうかを調べました。1地点(慶良間西40m)を除いた23地点からサンゴ環境DNAのZOTU値を得ることができました(クバ西50mは波が荒く採水そのものがきませんでした)。サンゴDNAが検出できなかった慶良間西40mを船上でのモニター画面で確かめと、ここは藻類だけでサンゴがいないことが分かりました。つまり、この方法で準深海サンゴ礁の環境DNA解析が可能であることを確信できました。 1回の調査で1つの採水しかできないという条件下ですが、一箇所深さに従って構成されサンゴ属に変化があるらしいことを示すデータが得られました。そこはクバ北西サイトで、浅瀬はミドリイシサンゴ(Acropora)が優占種ですが、水深が深くなるについてミドリイシの割合が減少し、代わって シタザラクサビライシ属(Fungia)やキクメイシ属(Dipsastraea)が優占しています。クバ北西サイトは外洋に面した流れの速い場所で、例え1例であっても深度によってサンゴ類の優先性が変わることを示しています。再調査をぜひ行いたいと思っています。

一般的に、慶良間諸島の美しいサンゴ礁は比較的浅瀬の海の岩場に広がっています。そして水深が35mを過ぎるにつれて徐々に砂地に変わっていき、その後さらに深くなっても砂地が続きサンゴの姿は見えないというのが印象です。そこでこの透明な海でイシサンゴ(六方サンゴ類)だけでなくいわゆるソフトコーラル(八方サンゴ類)も含めて、サンゴがどの程度の深さまで棲息しているのかどうかを、水深100mを目指して調べてみました(実際、慶良間諸島の内海で水深100mの場所を探すこと自体が困難でした)。何回かのトライアルの結果、久場島の南東部の水深約100mの所でヤギやイソバナを中心としてソフトコーラルの群団を見つけことに成功しました。水の流れが非常に早く、その場所にドローンのカメラを固定しておくことが幾分困難でした。これらの発見はドローン操作技術員の清水由紀さんの貢献なしではあり得なかったと考え、彼女の名前を冠して、この場所を“ユーキ・リーフ”と名付けています。琉球列島で水深100m近くまでサンゴ(ソフトコーラルを含む)を調査できた数少ない例です。


Acropora ミドリイシ属 ( Acropora ) Anacropora_Montipora トゲミドリイシ属 ( Anacropora ) / コモンサンゴ属 ( Montipora ) Dipsastraea キクメイシ属 ( Dipsastraea ) Fungia シタザラクサビライシ属 ( Fungia ) Hydnophora イボサンゴ属 ( Hydnophora ) Leptoria_Platygyra ナガレサンゴ属 ( Leptoria ) / ノウサンゴ属 ( Platygyra ) Pachyseris リュウモンサンゴ属 ( Pachyseris ) Porites ハマサンゴ属 ( Porites )